江戸千家・近藤鈴子茶道教室
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江戸千家・近藤鈴子茶道教室
                      


有賀文化教室40周年記念茶会記
       平成24年4月8日
                     於 山梨県立文学館 茶室 素心菴


4月20日更新で、40周年記念茶会のご報告のページを更新予定でおりましたが
残務整理に追われ作成困難を来たしました
取り敢えず当日の会記をお届けしたいと思います

桑山先生は茶道のコンサルタントですので、当日の花祭りの日にあわせ
又主催する私の流儀、山梨に関わるものなどで取り合せて下さいました
2月の末に県内の流儀の方にもご挨拶に伺いましたが、申し込み期日を過ぎてから
全員欠席葉書が届き、何方もご出席になりませんでした
周囲の方々は「そんな流派もあるのですね」と一様に呆れ顔でしたが
その分皆さんが、張り切って御声賭けをして下さり大勢の方が御運び下さいました

茶席の外、福島から竹師の田中昌斎先生ご夫妻
京都から釜師の高木治良兵衛様が、ロビーにそれぞれの御道具を展示下さり
お席をお待ちになるお客様に、竹についてや、釜についての御話しをして下さいました

一席の時間を30分以内でと考え、十数名のグループ分けにして、10回ずつの
タイムテーブルを組み、寄付・腰掛待合、濃茶席、薄茶席、立礼席、点心と
30分単位で同じグループ毎に廻って頂き、お時間のある方には
道具展示コーナーや、体験コーナーでお楽しみ頂きました


濃茶席道具の箱書
    有賀文化教室四十周年記念茶会
                平成二十四年四月八日
          於  山梨県芸術の森公園 素心菴
本 席
 掛物 冷泉為家筆 古今和歌集一首切
   亭子院の歌合に春の果ての歌
        今日のみと 春をおもはぬ 時だにも
                たつことやすき 花のかげかわ

  花 入  砂張 曽呂利 (盆に載せて)
   花    ときのもの
  香 合    染付 隅田川
   炉 縁 桜 桜御所の桜木以 佐野弥高亭旧蔵
  釜    古芦屋 平蜘蛛     藤田彦三郎旧蔵
  水 差  美濃伊賀    小堀宗慶箱
  茶 入  織部 銘 牧童 梅翁不白箱
   袋    赤地菊桐金襴
  茶 碗  古伊羅保 銘 浦島 三代不白箱
                   堀内兼中斎外箱
   副    金海洲浜 歌銘 真砂 小堀宗慶箱
 
       八百日ゆく 浜の真砂を 君か代の
                   数にとらなん 沖つ島守

        古瀬戸 元伯庵手
        古丹波
  茶 杓  桑山左近作 清水道竿筒 駒井有無庵箱
   建 水  遠州高取 寄口
   蓋 置  竹 堀内仙鶴在判
  菓 子  花衣         名古屋 芳光 製
   器    利休形 朱高杯     駒沢春斎 作
  お 茶  神護の昔           西条園詰
  
  席使い
    茶入 浅川伯教手造 銘 滝の音  共箱
    茶杓 益田鈍翁作  銘 鶴   共筒箱
  
          席主 茶道コンサルタント
                表千家 桑山左近

桑山先生の講座を受講する講座仲間が早朝発ちで駆けつけて下さいました


教室の3月の教養講座で桑山先生の御道具についての事前学習での補足を
講座の受講生が新たにお調べ下さいました
    亭子院歌合

 歌舞伎ファンにとってお馴染みの丸本歌舞伎に『菅原伝授手
習鑑』『義経千本桜』『仮名手本忠臣蔵』の三大傑作があります。
この内『菅原伝授手習鑑』の主人公はかの有名な菅原道真です。
彼は宇多天皇によって、藤原氏の台頭を抑えるために登用されま
した。
そして醍醐天皇の時に右大臣に任ぜられました。しかし左大臣
藤原時平の中傷により太宰権師に左遷され西暦九百三年にそこ
で没しました。彼はそののち朝廷に祟りをなして天神信仰を生
んでいきます
一方宇多天皇は八百九十七年醍醐帝に譲位して現在の東西
両本願寺の間にあった亭子院の御所に住みました。
九百十三年宇多法皇が亭子院で歌合を開催しました。
これが今回の本席掛物の由来です。
この当時は最初の勅撰和歌集が撰進されています。
歌合にはこの撰進をすすめた紀貫之、凡河内躬恒も歌よみ
として加わっています。
 歌合せの形式は左方は赤色装束、右方は青色装束を着用し
親王、公卿が加わり、題は春、二月・三月、夏、四月、恋で
四十番(八十首)が歌われました。判定の結果右方が勝ちました。

と以上、宇多天皇さんは政争にやぶれはしたが、後世に残る
歌合をするなどして意気軒昂だったようです。
ちなみに道真が宇多上皇の奈良旅行にお供した時の和歌が
古今和歌集にあります。
『このたびは幣もとりあえずたむけ山紅葉の錦神のまにまに』
百人一首でお馴染みですね。
亭子院の謂れは平安時代の貴族の邸宅、つまり寝殿造りで
南庭に池を作ります。そこに中島を設けます。この中島に
あづまや=亭子を設けたことに由来します。さて掛物の和歌の
件です。

読人は凡河内躬恒で、春のはての歌つまり旧暦三月の晦日の
歌です。躬恒は甲斐の国司の四等官に補任されて、西暦八百
九十四年に下ってきております。
歌意は春は今日限りだと思って特別に惜しまない日でさえも、
たやすく立ち去れる花の陰ではない。まして、春の最後の今日
の日にたやすく立ち去れるものですか。という惜春の思いを
歌っております。この和歌の前後は藤の花を歌っていて、花の
種類は特定できません。

亭子院の謎かけをしていただきありがとうございます。
勉強させていただきました。
                 講座受講生 田中源悠 稿
                   
浅薄な講師の催す講座ながら知識の豊かな受講生に支えられ
日々講座の内容もより進歩向上しながら継続に至っております
                     主宰 近藤鈴子


外国のお客様も4名お越しくださいました

    四十周年記念茶会

広間(薄茶席)


 床  和歌 散し書  筆 国学者 賀茂真淵
        青ざれば 簾花咲く 県見に
              思いがけにや 君来まさむと

  花  花富貴 御衣黄桜
   花 入  唐銅 周素觚        祥栄 造
  香 合  雉       松山窯 佐久間芳丘 造
  棚  爪紅矢筈長板 流祖川上不白好写 輪島塗
  釜    撫四方筋釜        畠 春斎 造
   炉 縁  枝垂柳蒔絵   山中塗 村田宗覚 作
   風炉先  守鈴       遊画人 野林六庵 画
  水 差  四君子文 皆具の内    岡田暁山 造
  薄 器  柳桜蒔絵     輪島塗 茶平一斎 作
  茶 碗  賤機焼          秀山 造
   替    藤の花文   清閑寺窯 杉田祥平 造
   替    志戸呂焼 四方形 直透窯 鈴木青宵 造
   替    四神 紫交趾      山本一如 造
   替    四葉詰草        脇田雄峰 造
  茶 杓  兼中斎宗心宗匠 銘 馥郁
   建 水  皆具の内
   蓋 置  皆具の内
  お 茶  小倉山         山政小山園 詰
  菓 子  ひとひら    浜松市   近江屋 製
   器    輪島 重台 花筏蒔絵
   莨 盆  櫛形透四方手付 二代 田原一斎 作
   火 入  赤絵竜文       井上春峯 造
   刻 入  青漆独楽文      
   灰 吹  青竹
                     以 上
           担当 講座受講生 渡辺よし子 
                    長田 映子

薄茶席は教室の教養講座を受講して下さっている方々に担当して頂きました
教室の40周年記念の会ですので、「よん」、「し」に因んだもの、花の季節に合わせて
花もテーマに加えさせて頂きました

私の茶道の原点となりました御二方の御姉妹の師匠が東京からお越し下さいました

    四十周年記念茶会

 寄付 床 上杉謙信図 丹羽玉邦画
 
 立礼席

  床  短冊 花知鳥待花 
           紫野 三玄院 長谷川寛州老師
   香 合  蛤 木賊蒔絵
  花  時のもの
   花 入  歌花筒
  棚  新立礼卓
  釜    浜松地文真形       般若勘渓 造
   風 炉  八角風炉        山本閑浄 造
  水 差  里桜文          山川 巌 造
  薄 器  雪月花蒔絵    輪島塗 細谷榮斎 作
  茶 碗  朝日焼          松林豊斎 造
   替    黄交趾 帯七宝文    赤澤露石 造
   替    小曾部焼 暦手     寒川義崇 造
   替    赤膚焼 柳里恭花籠図  尾西楽斎 造
   替    七福神        小野山佳水 造
  茶 杓  銘 花筏 紫野 高桐院 松長剛山老師
   建 水  溜塗七宝繋蒔絵
   蓋 置  桜の図         伊藤魁雲 造
  お 茶  和光            小山園 詰
  菓 子  春霞 早蕨     浜松市 近江屋 製
   器    春慶四方
                       以 上

              担当 浜松教室受講生
 
立礼席は浜松の生徒に担当して頂きました
今年8月に古希を迎えますので、皆さんに古希を祝って頂きました
「七」に因んだものと、花をテーマにさせて頂きました

ママのお稽古に連れられて来ていた莉子ちゃん、自分からママのしていることを真似たがり
五歳から茶筅振りを始めました。4月から新4年生になりました
茶事のたび御運びなど積極的に御手伝い下さいましたが、今回はお点前デビューです
ママが半東に着きましたが、後ろで声掛けをすると抵抗されたそうです
利発な子ですので、御茶事の度いつもお客様から感心されています

    
   
四十周年記念茶会

 
点心席

   向 付  釜揚げ新白子 大根 生姜 軸三つ葉
  
   御 飯  あさり炊込み
  
   味噌汁  身延湯葉 田芹 芥子
  
   冷 酒  開運  静岡県掛川 土井酒造
            山梨県富士 井出醸造
            
                   半月盆にて
  
  
   強 肴  風花長芋 花人参 蓬麩
  
   進 肴  水菜 油揚げ 霰 胡麻酢和合
  
   焼 物  鰆柚庵焼
  
   八 寸  帆立貝柱黄金焼 菜の花
  
   香の物  奈良漬 沢庵
  
                    縁高にて
                   
              担当 卒業生他
点心の献立は名古屋の茶事の師に依頼、「季節のもので」、「手軽」
「安価」、「美味」と厚かましい条件を並べ立てて、アドバイスをお願い致しました
お客様も一様に美味しいかったとお褒めに与りました
私が作った訳では無いことを添えて置きます

点心は皆さん総出で教室の厨房で調理、夕方会場へ運び込んで下さいました
点心席でお運びをして下さる予定の卒業生が突然インフルエンザの連絡がありました
講座受講生が御身内の新5年生に御声を掛けて下さいましたが、とてもお役に立ちました
禅の師の奥様も車椅子で参加、お楽しみ下さいました。
グループの皆さんとゆっくりと点心をお楽しみ下さる方達もおりました

     体験コーナー
    
 四十周年記念によせて
   黒楽 四方形 鈴文        岡田宗白 造
   赤楽 四方形 地紙文        吉村楽入 造

 古希によせて
   遠州七窯から 上野焼 紫蘇黒茶碗
   遠州七窯から 高取         鬼丸碧山 造
   遠州七窯から 膳所 鈴の絵 陽炎園  岩崎新定 造
   長次郎七種から 検校写         常楽 造
   七賢人   九谷焼

 花の季節に        お子様方に
   岸辺の春 橋本紫雲 造  花咲爺  寺尾陶象 造
   春野   沖野和光 造  桃太郎  野田東山 造
   都の桜  井川和夫 造  金太郎    陶舟 造
   桜          かぐや姫 錦光山宗一郎 造
   山吹   橋本美峰 造  牛若丸  小倉寅介 造
   若葉   川崎和楽 造  兎と亀 萩 清雅窯 造
               鯉幟  北川弥三郎 造

 棗   輪島 蝶春草蒔絵        清水宗水 作
     輪島 亀甲蒔絵         谷内友華 作
 茶 杓 銘 摘草 紫野 総見院 峰岸久裕老師
     銘 千年 紫野 如意庵 立花大亀老師
 主菓子 春の岸辺  浜松市 近江屋 製
 干菓子 桜 富士のこけもも  浜松市 近江屋 製
               富士宮市 藤太郎 製
  菓子器 輪島塗 六角縁高 雷文沈金
      担当 講座受講生 伊藤恵理 川西眞理子
体験コーナーは、40周年、古希、花の季節、子供コーナーと
合わせて20個の茶碗を並べ、御好きな茶碗を選んで頂き、
主菓子、干菓子の取り方、頂き方等の説明、飲み方の作法等を学んで頂いた上で
御自分でお点てになるか、点てて差し上げるかの選択をして頂きました

お習字教室の生徒がお友達とご一緒に、元生徒がお子様連れで
当日都合の付かない友人のお嬢様が、ペアにて名代でお出かけ下さいました
茶道の心得のないお二人ですが、全ての席にお入り下さり楽しかったとのコメントでした


竹師田中昌斎先生から触ってご覧と奨められ真剣に触ってみました


会場一番の混雑スペースのため撮影班も撮りにくかったのか展示品の写真も少なく
少々残念! イケメンの釜師治良兵衞先生も見付けられませんでした

百十数名のお客様を五十数名のスタッフがお持て成しさせて頂きました
不手際は数々生じたことと思いますが未熟者の集まりゆえ何とぞお許し願います様
終わる頃には何とか要領が掴めました。次にはもっと上手に役割を
果たせると思いますので、来年もういっぺんやりましょうと
口々に楽しいセリフを言って下さいましたが勿論無理難題ですよネー

ご尽力を賜りました皆様にはこの場をお借りして心より御礼申し上げます


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